お役立ち情報

FDAの構成や、諮問委員会、FDAへの承認申請の種類、審査にまつわるさまざまな制度についての情報です。

FDAとは

FDAとは米食品医薬品局(FDA)のことです。米国の厚生省にあたるDepartment of Health and Human Services(DHHS)に属しています。

FDAが所管するのが1938年に制定された薬事法規である「食品、薬品および化粧品に関する法律」(FD&C Act)です。FDAはこの法律により、食品、薬品、医療機器および化粧品の審査、許認可、安全性・有効性の確保など、薬事行政を行います。

FDAを構成する組織

  • 医薬品評価・研究センター
    (Center for Drug Evaluation and Research:CDER)
  • 生物製剤評価・研究センター
    (Center for Biologics Evaluation and Research:CBER)
  • 規制事業部
    (Office of Regulatory Affairs :ORA)
  • 医療機器・放射線保健センター
    (Center for Devices and Radiological Health:CDRH)
  • 食品安全・応用栄養センター
    (Center for Food Safety and Applied Nutrition:CFSAN)
  • 動物薬センター
    (Center for Veterinary Medicine:CVM)
  • 国立毒性研究センター
    (National Center for Toxicological Research:NCTR)

FDAの諮問委員会

  • アレルゲン製品諮問委員会
    Allergenic Products Advisory Committee
  • 生物学的反応修飾物質諮問委員会
    Biological Response Modifiers Advisory Committee
  • 血液製剤諮問委員会
    Blood Products Advisory Committee
  • ワクチン・関連生物学的製剤諮問委員会
    Vaccines and Related Biological Products Advisory Committee
  • 麻酔・生命維持薬諮問委員会
    Anesthetic and Life Support Drugs Products Advisory Committee
  • 抗感染症薬諮問委員会
    Anti-infective Drugs Products Advisory Committee
  • 抗ウイルス薬諮問委員会
    Antiviral Drugs Products Advisory Committee
  • 関節炎薬諮問委員会
    Arthritis Drugs Advisory Committee
  • 心血管・腎臓薬諮問委員会
    Cardiovascular and Renal Drugs Advisory Committee
  • 皮膚用薬・眼科用薬諮問委員会
    Dermatologic and Ophthalmic Drugs Advisory Committee
  • 薬物安全性諮問委員会
    Drug Safety and Risk Management Advisory Committee
  • 内分泌・代謝用薬諮問委員会
    Endocrinologic and Metabolic Drugs Advisory Committee
  • 胃腸薬諮問委員会
    Gastrointestinal Drugs Advisory Committee
  • 腫瘍薬諮問委員会
    Oncology Drugs Advisory Committee
  • 薬科学諮問委員会
    Pharmaceutical Science Advisory Committee
  • 末梢神経・中枢神経系薬諮問委員会
    Peripheral and Central Nervous System Drugs Advisory Committee
  • 精神薬理薬諮問委員会
    Psychopharmacologic Drugs Advisory Committee
  • 肺・アレルギー薬諮問委員会
    Pulmonary-Allergy Drugs Advisory Committee
  • 生殖安全性諮問委員会
    Reproductive Health Drugs, Advisory Committee for

FDAの制度

FDAの審査に関連する指定やその他の制度。先発品と後発品の特許侵害訴訟までの過程に存在するさまざまな取り決め。

  • 「ファストトラック」(優先承認審査制度)
    Fast-track designation

    完治が難しい疾患に対し、高い治療効果が期待できそうな新薬をFDAが優先的に審査する制度。1997年のFDA近代化法により、ファストトラック指定を受けると、新薬承認申請(NDA)の提出前や申請途中にもFDAとの協議が促進される。また試験結果が入手でき次第、FDAに提出できるローリング・ベース(締め切りがない)でNDAを申請できる。FDAは全データの提出を待たず、試験結果が提出されるごとにこれを審査するもの。場合によっては審査期間が短縮される「優先審査」の指定を受ける可能性もある。

  • 迅速承認制度
    Accelerated drug approval program、
    Expedited procedures
    とも呼ばれる。

    重篤または生命を脅かす疾患に用いる新薬を対象とし、臨床効果が代用評価項目による評価で有効であることが見極められたときには早期に新薬としての承認を与える制度。この制度による承認では新薬の有効性を市販後も調査することが義務付けられている。迅速承認制度の一環として、FDAは市販後調査で有効性が示されなかった場合、医薬品を市場から撤回する権利がある。

  • 医薬品優先審査方針
    Priority review policy

    この指定を受けると審査期間が通常10カ月のところ6カ月に短縮される。既市販薬あるいは既承認薬と比較して、何らかの治療上の進歩をもたらす可能性のある医薬品を優先的に審査しようというもの

  • オーファンドラッグ(米希少疾病用医薬品法)
    Orphan drug designation

    オーファンドラッグは、患者数20万人以下の希少疾病の新薬の開発を促進するためFDAが与えるもので、指定を受けると米国では7年間の先発権保護が与えられる。その他に臨床試験費を負担する米国政府からの補助金の獲得、臨床研究費用の税額控除、FDA申請における医薬品審査手数料の免責、治験実施計画書の審査の支援がある。

    FDAは、オーファンドラッグに指定した製品について指定した希少疾患においては7年間、簡略承認申請(ANDA)、新薬承認申請(NDA)、生物製剤承認申請(BLA)などの他の申請を承認することは禁止されている。ただし、オーファンドラッグに指定された製品と同じ希少疾患について、化学構造が異なるか臨床的に優れている別の製品が存在する場合、この2番目の製品の承認も許可され、独自のオーファンドラッグ指定を受けてもよいことになっている。

    ★ちなみに
    欧州ではオーファン医薬品(OMP)と呼ばれ、 欧州では10年の先発権保護が認められている。発売後5年で「十分に収益性がある」とみなされれば、これを6年に短縮することを許可している。=EUオーファンドラッグ規則第8条

  • 治療プロトコル treatment protocol
    FDAの判断で、十分な代替治療薬・療法がない重篤で生命を脅かす疾患について臨床開発段階にある治療薬を正式な販売承認の前に、医師が患者に使用できるようにするもの。
  • 実施保留命令(クリニカル・ホールド)
    FDAが新薬治験許可申請(IND)で要請された臨床試験の全体、または一部の延期・中止を命じること。

FDAへの申請

  • 新薬治験許可申請(IND) Investigational New Drug application
    これまで動物実験してきた化合物をヒトを対象とした臨床試験に移行させるためFDAに提出する。
  • 新薬承認申請(NDA) New Drug Application
    新薬はFDAにNDAを提出し、承認を受けた後に発売される。
  • 医薬品承認事項変更申請(sNDA) supplemental NDA
    一変申請/医薬品承認後の一部変更申請 supplemental application とも呼ばれ、一度承認を受けた医薬品について追加の適応で承認を受ける際に提出される。適応拡大のための申請。
  • 生物製剤承認申請(BLA)Biologic License Application
    これは従来の化学化合物を基盤とする医薬品ではなく、生物製剤(バイオ医薬品)の承認申請で提出される。生物製剤は生きた細胞から作られるため、従来の化学化合物基盤の医薬品より分子が大きく、製造過程が複雑。
  • 生物製剤承認一部変更申請(sBLA) supplementaBLA
    生物製剤で適応を追加する場合の申請。
  • 簡略承認申請(ANDA)
    すでに承認済みの医薬品と同一のものに対して認められた簡略な申請方法。新薬の特許が切れた時点で、その先発品との化学構造および生物学的同等性を証明すれば、それ以上のデータを要求せずに後発版を製造・供給するのを承認する制度。

FDAの承認前、承認後の流れ

  • FDA諮問委員会が、承認申請が提出されている新薬について、FDAに承認するかどうか勧告するため、会議を開きます。この諮問委の会議に先立ち、FDAは通常ウェブサイトにその新薬のレビューを掲載します。外部の専門家から成る諮問委員会は、新薬のリスクと利点(risk and benefit)を、製薬会社が提出した資料を吟味し、検討し、懸念事項について投票します。「承認を勧告」あるいは「承認を勧告しない」という諮問委の判断に基づき、FDAは最終的に承認判断を下します。FDAは諮問委の勧告に通常従いますが従う義務はありません。

  • 完全回答書簡(コンプリート・レスポンス・レター)complete response letter

    FDAが申請の審査サイクルを完了した時点で申請における具体的な不備や承認取得のために推奨される措置などを申請した製薬会社に通知する。追加の試験実施の要請や試験データの提供を求められる場合は承認延期を意味する。

  • 後発企業のANDAから、先発企業が後発企業に定期する特許侵害訴訟まで

    医薬品を開発した先発企業は、FDAに新薬登録時に新薬の特許情報を提出する。ANDAを申請する後発企業が、その特許が無効、あるいは後発版の製造・使用・販売によりその特許が侵害されないとの証明書(パラグラフ4特許証明書)をFDAに提出した場合、特許権者である先発企業に通知される。このような証明書を提出した最初の後発企業に「180日の後発薬先発期間」180-day generic drug exclusivity period が与えられる。 そのような通知を受けて、先発企業が後発企業に特許侵害訴訟を45日以内に提起すると後発薬企業のANDAの承認は30カ月間延期される。つまり後発薬との競争が30カ月間避けられるため、「30カ月不競争期間」30-month stay of FDA's generic drug approvalsと呼ばれる。

  • 公認後発薬 authorized generic drug
    先発企業が使っている、いわゆる「公認後発薬」の取り決めは通常、大手製薬会社が、まもなく特許失効予定の医薬品について訴え(簡略承認申請ANDA)を起こした後発企業とは別の後発会社に、先発ブランド品の「公認」コピー薬販売を許可するもの。この取り決めは、最初に訴えを起こした後発会社に与えられる「180日の後発薬先発期間」に割り込むことになる。後発薬メーカーはほとんどの収益をこの先発期間に依存している。
  • 暫定承認
    FDAが先発品の特許などの認められた独占販売権が失効する前に簡略承認申請(ANDA)について承認する場合、これを暫定承認とする。先発品の販売独占権が終了するまで後発品は販売できないことを意味し、最終的な承認とみなされない。

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